ファーストラヴ

ファーストラヴ

島本理生
文藝春秋 (2020年2月5日発売)
ISBN:9784167914356
本棚登録:211

作品紹介・あらすじ

夏の日の夕方、多摩川沿いを血まみれで歩いていた女子大生・聖山環菜が逮捕された。彼女は父親の勤務先である美術学校に立ち寄り、あらかじめ購入していた包丁で父親を刺殺した。環菜は就職活動の最中で、その面接の帰りに凶行に及んだのだった。環菜の美貌も相まって、この事件はマスコミで大きく取り上げられた。なぜ彼女は父親を殺さなければならなかったのか? 臨床心理士の真壁由紀は、この事件を題材としたノンフィクション...

感想・レビュー (5件)

ミステリー系を探して出会った本。 話が進むにつれて、明らかになっていく事実と登場人物の心模様に、人間味を感じた。 深い傷や留めていた秘密がそれぞれにあり、一人一人の奥深さを感じた。傷が欲しいとか、秘密が欲しいとか、そういうわけではないけれど、わたしを魅力たらしめる、何か深みが欲しいとは思った。

ネタバレを読む

父親を刺殺した22才の娘。臨床心理士の女性と弁護士が家族の状態、背景を探る

父親殺害の容疑で逮捕された環菜。 臨床心理士の由紀がノンフィクション執筆のため、弁護士の迦葉(大学同期なだけ⁉️)と共に面会に行き、環菜の過去を追うにつれ、証される環菜と両親との過去の関係が…。 「家庭に問題があった女の子が何を考えて、どんな想いで生きているのかを知りたい」迦葉の言葉より

第159回直木賞受賞作。 想像以上に引きが強い心理ミステリーで非常に読み応えのある作品だった。環奈の心情と並行して主人公の過去も明らかになっていく流れや、登場人物の微妙な心の動きの描写も実に鮮やか。 読了後はタイトルのもつ意味の深さに思わず唸らされる。

虐待について書かれていた。読んでいて辛かった。それぞれ感じ方が違うだろう作品