作品紹介・あらすじ
昭和百年とはいうけれど、歴史として語られる数々の出来事と、戦前、戦中、戦後にかけて自身が経験してきた事々は、重なるようでいてどこか重ならない。戦争と引揚げの記憶、貧しかった青春時代、かつての文壇での交友や歌謡曲の世界、そして逝きし人びとの声ーー連載十二年に及ぶ「週刊新潮」の人気エッセイから三十七話を厳選、忘れ得ぬ時代の原記憶が鮮やかによみがえる。
感想・レビュー (1件)
五木さんの文章を読んでいると、そうだったそうだったという、文章に出会う。まさしく、私は昭和時代を生きてきた。 風呂を私が、焚いていた。平和大通りの側道に水が溜まり、おたまじゃくしや水生昆虫を捕まえていた。学校で、毎日のように、出前をとっていた。保護者と飲み会に行っていた。 二十代の先生にとって、私で言えば昭和の初めの出来事だ。