
らいか
2025年3月31日
森見登美彦訳「竹取物語」読了。 誰もが知っている「竹取物語」を大好きな作家である森見登美彦が現代訳したもの。 有名すぎる話なのでほぼ内容は知ってると思ってたのだが、物語の最後で驚いた。 月に帰るときに、かぐや姫がお爺さんとお婆さんに不死の妙薬を渡すのだけど、貰った不死の薬を誰も飲まないのよ。爺と婆はまだしも、帝さえも飲まない。飲まないどころかかぐや姫に会えないのであれば不死になっても意味がないと燃やしてしまうのである。なんて純粋な人たちだ。どこの国とは言わないが、この不死の妙薬をめぐって血みどろの奪い合いが始まってもおかしくないのに、燃やしてしまうとはなんと言う心意気。 と思ったのだが、よく考えるとそうか、帝がそんなよくに塗れていてはダメだよね。たぶんこの時代の帝といえば神にも近い存在だから、そんなよくに塗れた姿を物語に描いたらこっぴどく怒られちゃうよね。 あと、月の迎えのものたちの能力がすごくてびっくりする。この時代にこんな能力者が描けるとすごいよね。全ての人の攻撃性をなくすわ、閉めた襖は全部ずばーんって開け放すわ、もう全能感抜群。そして衣を着せると月人の人格になってしまうとか。なんかすんごいちゃんとしたSFなのよ。 竹取物語、一読の価値あり。

竹取物語
森見 登美彦
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