
レビュー (3件)
読みごたえのある、小説らしい小説。 最初、ものすごく遠い位置にいる二人の人生が、いろいろな選択の末に交錯する。人と人とが出会うというのは、こういうものかもしれないと思わされた。 それにしても、不三子の人生(特に終盤)にはどきりとさせられる。信念のない子育ても嫌だが、あまりにも信念が先走るとこうなるよね、と。 不三子の母親のエピソードも強烈だ。今の若い読者は、社会で絶対的に正しいとされたことが全否定されることがある、ということを知らないのかもしれない。 昭和の末生まれにとっては、終戦で価値観がひっくり返ったという話は、さして目新しくもないのだが。
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