りんごのこ
2025年7月29日
根っからのミーハーなので、ダガー賞受賞を知り文庫で買った。買ってから自宅最寄り駅まで帰るまでの数十分、家に帰ってからも更に数十分、あっという間に読み終えてしまった。 中盤のミスリードにまんまと引っかかり、種明かしでしっかり驚いた。 暴力もグロテスクな描写もあるのだが、かつて読んだほかの作家のものとは違い、描写がねちっこくなく物語の一要素として抵抗なく読める。 王谷さんご自身が文庫版のあとがき、またダガー賞の受賞スピーチでも口にされていたように、暴力を書くことに自覚的であるからこういう文章になるのだろうなと思った。残虐だか露悪的でなく疾走感があり、女は傷つけられるが悲惨さを強調するだけの道具にはならない。こんなに疾走感があって読むのが楽しい小説に久しぶりに出会った。
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ババヤガの夜
王谷 晶
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