砂の女

砂の女

安部公房
新潮社
ISBN:9784101121154
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作品紹介・あらすじ

砂丘へ昆虫採集に出かけた男が、砂穴の底に埋もれていく一軒家に閉じ込められる。考えつく限りの方法で脱出を試みる男。家を守るために、男を穴の中にひきとめておこうとする女。そして、穴の上から男の逃亡を妨害し、二人の生活を眺める部落の人々。ドキュメンタルな手法、サスペンスあふれる展開のなかに、人間存在の象徴的な姿を追求した書き下ろし長編。20数ヶ国語に翻訳された名作。

感想・レビュー (2件)

迷い込んだ部落にある蟻地獄のような砂の盆地で、砂かきをさせられる男の話。最初は脱出を試みるも、一度失敗してからは、外世界への関心も薄れ、順応していく。罰がないと、逃走の楽しみがない。砂の中で、足るを知ったことで、脱出への欲望もなくなり、同居人の女と暮らしていくところで、物語は終了する 普段人間楽しみや充足感なく過ごしていると、どんな悪環境でも順応してしまう。でも悪環境に意義を見出せるのならば、それは一つの幸せだと思う。

ネタバレを読む

現代人たちは、今の状況、閉塞感を感じながら現状に甘んじ、どこか諦念を持って生きているのだろうと思う気持ちが強くなった。何とか現状から逃れたいと思うが、簡単ではないので今の状況に甘える、というか諦めているのである。(諦めきれずに逃れ方を間違う輩は犯罪を犯すのである) 見事に現代人の心理を比喩的に描いた本作、名作たる所以である。