砂の女

砂の女

安部 公房
読者数: 107
出版社: 新潮社
ISBN: 9784101121154

レビュー (2件)

現代人たちは、今の状況、閉塞感を感じながら現状に甘んじ、どこか諦念を持って生きているのだろうと思う気持ちが強くなった。何とか現状から逃れたいと思うが、簡単ではないので今の状況に甘える、というか諦めているのである。(諦めきれずに逃れ方を間違う輩は犯罪を犯すのである) 見事に現代人の心理を比喩的に描いた本作、名作たる所以である。

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迷い込んだ部落にある蟻地獄のような砂の盆地で、砂かきをさせられる男の話。最初は脱出を試みるも、一度失敗してからは、外世界への関心も薄れ、順応していく。罰がないと、逃走の楽しみがない。砂の中で、足るを知ったことで、脱出への欲望もなくなり、同居人の女と暮らしていくところで、物語は終了する 普段人間楽しみや充足感なく過ごしていると、どんな悪環境でも順応してしまう。でも悪環境に意義を見出せるのならば、それは一つの幸せだと思う。

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