作品紹介・あらすじ
戦後日米関係の根底を問う鮮烈なるデビュー作。江藤淳の『成熟と喪失』および一連の占領研究を精細に追跡することで、彼の戦後言説空間への強烈な批判意識とその背後に隠されたアメリカへのナイーブな思いとの落差に、戦後社会の変容を読み解き、また、原爆投下を可能とした<無条件降伏>という思想それ自体を問うことで、日米関係の<原質>に迫る。文学者としての鋭い直観と斬新な視座から日本の戦後をとらえ直した。
戦後...
感想・レビュー (1件)
「アメリカの影」は「なんとなく、クリスタル」を江藤淳が激賞したことが書かれていて、それがなんやねん、と思ったけど、アメリカなしではやっていけないけれど、自立を求める姿、みたいな江藤の姿勢が表れている、引き裂かれた感じっていうのは伝わった。例に出されている小説が面白いなぁって。読みたくなった。自然という母は気づいたらいないっていうのも、だから国家という父を求めたけど、それも幻想にすぎないってのがなんとなくわかったようなわかってないような。 3個目の戦後論みたいのは長かったけど、天皇の威光と原爆の威力というのが絡み合ってて面白かった。そして、無条件降伏をさせかった意味、さらに無条件降伏の意味を最後まで明らかにしないで死んだルーズベルト。トルーマン可哀想ーって思った。平凡な人だといきなり重要なことを決断しなくてはならなくなって大変だっただろうけど、ルーズベルトが負おうとしていた「原爆を使った後の国際社会への責任」ってのはきっと負えないから、だからこそアメリカに原爆投下という傷が癒されていない状況が続いているのだとわかった