天使の歩廊

天使の歩廊

中村弦
新潮社 (2008年11月1日発売)
ISBN:9784103120810
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作品紹介・あらすじ

時は明治・大正の御世。孤独な建築家・笠井泉二は、依頼者が望んだ以上の建物を造る不思議な力を持っていた。老子爵夫人には亡き夫と過ごせる部屋を、へんくつな探偵作家には永遠に住める家を。そこに一歩足を踏み入れた者はみな、建物がまとう異様な空気に戸惑いながら酔いしれていく…。日本ファンタジーノベル大賞大賞受賞作。

感想・レビュー (1件)

笠井泉二という建築家をめぐるいくつかの短編物語。 彼が手がけたいくつかの建物(設計)を通して、彼は一体全体なんなのかが明かされていく。 明晰夢や幻視のような不思議な感覚に引っ張り込まれる。 向こう側の世界とこちら側の世界を、建築でつなぐ。 死者と生者が共存する建物、うしなわれた鹿鳴館の夢、永久に住めるような建物、二重らせんの塔、忘れ川の別荘、妻子の墓 およそ人間がたどり着けないような領域で、建築物を設計する、そうやって笠井泉二は人間界にあらたな建築の意義を残したのか。特殊で、普遍性がなく、人間世界とは別の場所にある建築。それに触れた人間はその魔力に魅了され、心を動かされる。

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