かり

6件のレビュー

レビュー

まさに伊坂幸太郎ワールド! 各登場人物たちによるちょっとずれたクスッとくる会話がクセになって笑ってしまう。何度か電車の中で耐えられなかった。 様々な視点から語られる一見繋がっているようで、実はバラバラな物語が終盤に一気に集約して、やっぱりちゃんと繋がっていくのは、ラッシュライフのようなような、初期の頃の伊坂幸太郎を彷彿させる。

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ホワイトラビット

ホワイトラビット

伊坂 幸太郎

文句なしに面白かった! 青春ミステリ好きなのに読み逃してたことを後悔。 個性的だけど尖りすぎないキャラたちの掛け合いを楽しみつつ、分刻みの本格アリバイトリックを堪能できる贅沢な1冊。 「幽霊役の子がいつ本当の幽霊になったのか」とか、素敵すぎる謎。 学園ミステリで「読者への挑戦状」叩きつけられたの初体験。 でもそれだけ自信があるのも頷ける。 聞き取り調査とか、そこまで文量多くないのに上手に伏線があって、それを土台に本当に1分刻みで真実を明かしていく解決シーンは拍手を惜しみたくない。 青春ミステリとしての甘みと苦みがあるの素敵

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幽霊たちの不在証明

幽霊たちの不在証明

朝永 理人

一言一句、読み逃しがないように噛み締めるように読んだ。 「春期」のときから謎だった、小鳩くんと小佐内さんが小市民を目指し、互恵関係を結んだ経緯が語られる事件と、二人の卒業のお話し。 事件そのものは米澤節の「青春の苦み」が満載だった。 語りたいのは小鳩くんと小佐内さんの関係性。 互恵関係で「どちらがいないといけない」わけじゃない。 その関係の始まりも互いの利益のためというドライなものだった。 それが3年間の四季を通して、最終的にどう変わったか。 最後の小佐内さんのセリフが全て。 あの一言を読んだ瞬間、叫んだ。 「春期」で互恵関係を結んで高校生活を共に始め、「夏期」で約束が反故されたが故に距離をとり、「秋期」でそれぞれ違う道を模索したのに、再び互恵関係を結んだ。 ずっと互恵関係のためだった二人の接点。 高校卒業でそれが終わるのに、小佐内さんが残した言葉がたまらない。 これ以上ない終わり方だった。 小鳩くんと小佐内さんがどんな終わり方をするんだろうとはずっと不思議だった ハッピーエンドは似合わない気がするし、かといって二人の業の深さを鑑みてもバッドエンドはキツイなと思ってたし、だったらビターエンドかな?とか。 この15年間ずっと妄想してた 本当に絶妙な終わり方だった すごかった。

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冬期限定ボンボンショコラ事件

冬期限定ボンボンショコラ事件

米澤穂信

成瀬と島崎の本当に漫才のようなボケとツッコミの掛け合いが好き。 変人の成瀬になんやかんやと思いつつ付き合ってしまう島崎の気持ちはわかるし、そして漫才コンビまで結成する彼女の優しさというか、成瀬への信頼も素敵。 だから最初の二編、島崎の一人称で語られていた成瀬とのお話しが好き。西武百貨店の閉店と、ゼゼカラの結成。爽やかじゃないのに、よんでいて楽しい青春小説だった。 最終章で成瀬視点から見た島崎との友情物語はグッと来た。

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成瀬は天下を取りにいく

成瀬は天下を取りにいく

宮島 未奈

瑠璃子が好きなキャラだから、彼女メインのお話しで楽しめた。 自由で自分の意志を重んじる彼女というあやかしがどのように誕生し、その自我を育ってていったかが心に響く、いい悲劇。 珠の成長も著し、銀市に対する想いも、やっとここまで来たかという感じ。 二人のためにも瑠璃子はこれからもいいアドバイザーでいて欲しい。

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龍に恋う 四 贄の乙女の幸福な身の上(4)

龍に恋う 四 贄の乙女の幸福な身の上(4)

道草 家守/ゆきさめ

構造は前作(ジェリーフイッシュ)と同じなのにまた騙されてしまった。 前作も途中までは推理できたのに、それが見事なミスリードだった。 最後の真相を隠すのが上手だなと感じた。大ネタさえ隠せれば、あとは推理されてもいいとう大胆さが2作連続で味わえた。

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ブルーローズは眠らない

ブルーローズは眠らない

市川 憂人