匿名ユーザー
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レビュー
最初に読んでいる時は、この状況で殺人を犯す犯人の気持ちが全くわからず、猟奇的な理解できない殺人犯の像が浮かぶ。 エピローグを呼んだ瞬間に、犯人の気持ちが一気にわかるようになり、どちらかと言うと共感できる部分が増えたのが凄かった。 あの状況であれば、普通の女性が殺人を犯すハードルは確かにとても下がる。どうせ死ぬ人であるのだから。 読んでいるうちに、犯人は麻衣っぽいな、さやかが殺されたのは裕哉から半年前くらいに写真が送られてきたって言っちゃったからかな、翔太郎探偵役をしっかり務めたあとに死んでくれって頼んでるの違和感あるなとかは思っていたけれど、モニターの映像が交換されていたのは分からなかった。 ミステリーものの頼りになる探偵役が、最初からずっとミステリアスでこの人が言ったことは正しいと思わされそうな役柄でいてくれたのに、最後の最後で何を思ったんだろうと思った。有栖川有栖のあとがきに、ここまでコケにされた探偵はいないとあったけれど、その通りだと思う。 翔太郎も冷静に見えて、人に死んでくれと頼んでいる。いちばん冷静だったのは、やっぱり犯人だった。 あのやり方であれば、死ぬのは自分に死んでくれと言った人達であるから、こちらとしても良心が傷つかない。 自分だったらどう行動するか沢山考えた。
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方舟
夕木春央
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