紫式部ひとり語り

紫式部ひとり語り

山本 淳子
読者数: 5
出版社: KADOKAWA
ISBN: 9784044005818

レビュー (1件)

まるで紫式部が語りかけてくるように描かれている。「世」ということ、「身」ということ。「世」とは世の中、「身」とは自分の立場。理不尽な世の中をままならぬ身で生きていく。出会いと別れの人生を憂いながら生きていく。それが世というもの。それでも生きたいと願うのが人というもの。だから、ただ生きていくのだ。歴史上の偉人ではなく、一人の女性としての紫式部に親近感を持った。世情が如何に変われども、人間の心の有り様に変わりはないのだ。千年前の女性に背中を押された気がした。

0