あきりん

2025年5月10日

「魂が震えるほどの愛を知ったとき、人生が動き出す」 人は、誰かに必要とされ、愛されたときにはじめて「自分がこの世に存在している意味」を実感できるのだと思います。 ただし、一方的に注がれる愛情は、与えられることが当たり前になってしまうと、その価値に気づきにくくなるものです。 けれど、自分の内側から誰かの愛を強く求めたとき──そのとき初めて、愛が満たされない苦しさや不安、心の拠り所のなさに気づかされます。 もちろん、人との関わりはマイナス感情だけをもたらすわけではありません。一瞬の輝き、ときめき、安心感、満たされる喜び…。そして何より、「自分という存在には意味がある」と思えることが、生きる力につながるのです。 人は生まれてから死ぬまで、ずっとそうした出会いを求めているのではないでしょうか。 それに気づかないまま、ただ日々を過ごしていることもあるかもしれません。 人生には、受験、友人関係、就職など、さまざまな出来事があります。成功や失敗を繰り返しながら、他人との関係はもちろん、自分自身との向き合い方も変化していきます。そうして達成感や幸福を追い求める中で、本当の意味での「幸せ」とは何かが、少しずつ見えてくるのかもしれません。 けれど、「自分の幸せ」に執着しているうちは、心からの歓びには出会えないのだと思います。 やはり人は、人との関わりの中でこそ、深く満たされる体験や、生きる喜びを感じられるのではないでしょうか。 たとえ他人から見て不幸に思える状況であっても、大切な誰かに必要とされ、魂が震えるほどの歓びを感じた瞬間があったなら、その人の人生はきっと「幸せだった」と言える──私はそう思います。

悪人 新装版

悪人 新装版

吉田修一

0