すだれ

2026年1月13日

終戦直後、デモクラシー教育の実験に参加することになった四人の女性の物語、と言うと、なにやら難しそうな気配がするが、超弩級のエンタメ小説である。 テーマが小難しそうなのと頁数が多いのとで、敬遠されてしまうかもしれないが、食わず嫌いは余りにももったいない。 クスッと笑えて、ハラハラして、切なくも暖かな余韻が残る。間違いなく、森絵都の新たな代表作になるだろう。 ヤエが特に良い味を出している。 作中、大正デモクラシーに誰も言及しなかったのだけが、唯一惜しまれる。 大正デモクラシーの残り香が一掃されたのは国体明徴声明(1935年)あたりなので、実は、昭和になっても、大正デモクラシーで醸成されたリベラルさは、知識層の間では相当に残っていたはずなのである。 兄がいる美央子か、もしくは勉強熱心なリュウか、いずれかの口から大正デモクラシーについて一言あっても良かった。 ケーディス大佐がちょこっと登場する別の本を直前に読んだばかりだったので、こちらでも出てきて、なんだか旧友に会ったような気持ちになった。

デモクラシーのいろは

デモクラシーのいろは

森絵都

本棚登録:9