図書館の魔女 霆ける塔

図書館の魔女 霆ける塔

高田大介
講談社 (2025年10月16日発売)
ISBN:9784065410455
本棚登録:3

作品紹介・あらすじ

待望のリブラリアン・ファンタジー、再始動。 マツリカが、キリヒトが、帰ってきた。 囚われた魔女を救うべく、仲間たちは雷鳴轟く山峡の砦を目指す。 風が唸り、雷が轟く「霆ける塔」に囚われた図書館の魔女・マツリカ。宿敵ミツクビの罠にかかり、閉ざされた山城で彼女を待つのは、夜毎降り注ぐ稲妻と奇妙な因縁を背負う砦の主。脱出の糸口を探るマツリカを、新たな謎と出会いが待ち受ける。一方遠く離れた故郷では、ハル...

感想・レビュー (1件)

高田大介「図書館の魔女 霆ける塔」読了。 ああ、また読み終わってしまった...図書館の魔女を読み終えるたびに感じる充足感と寂寥感。 充足感はいうまでもなく物語の面白さによるもの。それに加えて華を添えるのが魅力的な登場人物たち。ハルカゼ、キリンはもちろんのこも、ヴーシャ、アキーム、ワカン、エゴン、そして新たに加わった紅花と杏。でもなんと言っても1番魅力的なのはこの物語の主役である図書館の魔女マツリカ。マツリカの声なき声をずっと聴いていたい。マツリカと紅花の会話は自然と頰が緩んでしまう。 マツリカが紅花に言う。「ある言葉の本当の意味はほかならぬその言葉によってしか表しえない」。自分もだいぶ人生経験は付けてきた方だと思うが未だこんな見方もあるのかと思い知らされる。知見が広がる。このシリーズのこういう所がたまらなく好きだ。 図書館の魔女シリーズは、いやこのシリーズだけじゃないな。高田大介さんの文章はとても難解なのだが、紅花が茉莉花の手話をいつのまにか分かるようになっていたように、ずっと読んでいると気づけばいつのまにかこの難解な文章も読めるようになっているという。高田大介マジック。不思議だ。 今作の霆ける塔は、マツリカがミツクビの罠にかかり毎夜の如く雷が落ちる塔へ幽閉されているところから始まる。囚われた茉莉花を救出すべく、ワカン曰く姐さんの一の子分たちが奮闘する。 このワカンがねえ。実にいいのよね。口が悪いけど真理を突くし、ほんとは面倒見がいいし優しい。それがわかってるので周りのみんなもその口の悪さを許すし、信頼をおく。生粋の人たらしだよね。 このワカンに実はひっそりした怒りで張り合っていたハルカゼがまたいいんだ。本作の前に高い塔の童心も読んでたので尚更のことハルカゼに思いがのってしまうよね。頑張れハルカゼ。そしていたずらっぽいハルカゼもたまらない。静かに怒ってたんだね。魔法でちょちょいって言われたのに。 そうやって時にニヤニヤしながら、時に考察しながら、この図書館の魔女の世界をなるべく長く感じているべく少しずつ、少しづつ読み進めていたのだけれど、最後四分の一で崩壊。 満を持して登場するもう1人の主人公キリト。もうここからはダメ。手が止まらない。一気読み。言葉はいらないキリヒトとマツリカの関係。ワカンが腑に落ちる。自分に挨拶するものはいないだろう、と。ああ、素晴らしいなこの本は。何度目だろうそう思うのは。 そして物語は壮大なクライマックスへ。ハルカゼの仕掛ける大魔術(怒られる)。このクライマックスは文章を読んでいるのだけど、頭の中ではすべて映像で再生。この頭の中の映像に勝るものがあるのだろうか。だから小説はやめられない。 ああ...読み終えてしまった... 訪れる寂寥感。 でも大丈夫。今回はちょっとだけ違うのよ。なぜならこの本の帯にはこう書かれているからだ。 そして物語は2027年『図書館の魔女 寄生木』へと続く。 信じてますよ!!高田大介先生!!