うしお

2025年10月12日

アルジャーノンは死んでしまった。チャーリイゴードンはまだ生きている。彼が3月8日からの数か月の間にたくさんのことを 学んでいく過程が、知能が高くなったことで起こる周りの人とのかかわりが否応なしに変化して、それに振り回される人たち。 最後にはまた、そうやって得た知識や知性がものすごい速さで抜け落ちて、経過報告がひらがなだらけになっていく。IQが高くなったチャーリイは昔のチャーリイが近づいて来ているのがわかっている。昔のチャーリイは、ただ、ずっとそこにいる。 チャーリイの体の中を、別のチャーリイが通り過ぎた、そこにはきおくが残っている。 チャーリイの幼い頃の人生が、自分の記憶の掘り起こしと分析で少しずつ解き明かされていくのがおもしろかった。昔のチャーリイにも、行動の意味があり、それが母には理解されなかったこと、 家族に会いに行くとき、チャーリイの天才的な頭脳をもってしても、「どんなことばを期待しているのか」たどり着けなかった。人のこころを科学で説明できないのは切ない。 頭が良いからと言って、怒りをコントロールできない。 パン屋のドナーさんはいい人だった。チャーリイがどんどん利口になっていくのを見て、彼を外に出した。まわりの環境がかわってまたチャーリイが戻ったら、「根性あるな」と受け入れてくれた。みんなチャーリイを好きになってくれる。 いつか自分も認知症とかでなにを考えているのかわからないときが来る。でもそれは 小さいチャーリイゴードンが、窓越しにぼくを見つめて待っている 「金や物を与える人間は大勢いますが、時間と愛情を与える人間は数少ないのです」ウィンズロウ先生 彼らがいかにしてあの黙せる魂に献身する道を発見したのか知りたい

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アルジャーノンに花束を改訂版

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ダニエル・キイス/小尾芙佐

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