作品紹介・あらすじ
1995年1月17日未明、阪神・淡路大震災が発生した。
神戸市内の高校から都内の大学に進学し、東京で働いていた青年は、早朝の電話に愕然とする。
かけてきたのは高校時代の友人で、故郷が巨大地震に見舞われたという。
慌ててテレビをつけると、画面には信じられない光景が映し出されていた。
被災地となった地元には、高齢の祖父母を含む家族や友人が住んでいる。
彼は、故郷・神戸に向かうことを決意した。
鉄道は途...
感想・レビュー (1件)
誤解を恐れずに言えば、被災者になれなかった神戸市民による、ノンフィクションのような小説である。 神戸に住んでいると、震災に無関心ではいられない。しかしその一方で、震災下の極限状態を体験していない人、インフラがずたずたになった中での被災者生活の記憶を持たない人は、負い目を感じなくてはならないような雰囲気もある。 震災から30年。震災の記憶を持たない生粋の神戸っ子も増えてきた。