作品紹介・あらすじ
「そもそものはじまりは間違い電話だった」。深夜の電話をきっかけに主人公は私立探偵になり、ニューヨークの街の迷路へ入りこんでゆく。探偵小説を思わせる構成と透明感あふれる音楽的な文章、そして意表をつく鮮やかな物語展開ーー。この作品で一躍脚光を浴びた現代アメリカ文学の旗手の記念すべき小説第一作。オースター翻訳の第一人者・柴田元幸氏による新訳、待望の文庫化!
感想・レビュー (1件)
散歩に行くたび、あたかも自分自身を置いていくような気分になった。街路の動きに身を委ね、自分を一個の目に還元することで、考えることの義務から開放された。 好ましい空虚 世界が変化し続けるその速度は、ひとつのことに長く心をとどまらせるのを不可能にした。 あてもなくさまようことで、すべての場所は等価になり、自分がどこにいるかはもはや問題ではなくなった。 散歩がうまく行ったときは、自分がどこにもいないと感じることができた。 →ゼロになることの快感
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