低地

低地

ジュンパ.ラヒリ/小川高義
新潮社 (2014年8月26日発売)
ISBN:9784105901103
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作品紹介・あらすじ

カルカッタ郊外に育った仲睦まじい年子の兄弟。だが過激な革命運動に身を投じた弟は、両親と身重の妻の眼前、自宅近くの低湿地で射殺される。報せを聞いて留学先のアメリカからもどった兄は、遺された妻をカルカッタから連れだすことを決意する。喪失を抱えた男女はアメリカで新しい家族として歩みだすが、やがて女は、小さな娘と新しい夫を残し、行方も告げず家を出るー。

感想・レビュー (1件)

壊れた家族関係がベースに流れ、それぞれの登場人物の一人語りが続く。 二人の仲の良い兄弟が騒乱のインドを通り過ぎ、それぞれの人生を生き、死に、残った一方はアメリカで修復を目指すも、ままならないままに生きていく。 残された妻はインドの生活から戦後の豊かでやや空虚なアメリカの生活へ逃れる。 騒乱の中、自らが止むことのない殺し合い連鎖に組み込まれたことに目をそむけ、逃れたアメリカの生活でも満たされず生まれた子供から逃げ出す。難解な哲学を学びながら、自己矛盾に向かえない弱い自己中心的な妻であり母。 残さるた家族はそのトラウマにより壊れながら再生していく。 過去と現在が交錯し、古い生活と現在のIT機器が交互に現れ、時間感覚や場所感覚を失いそうになりながら紡がれた物語。ある意味別の場所、別の次元がフラットになり比較できないものが比較できるかのような錯覚を覚える物語。