きのね 上

きのね 上

宮尾 登美子
新潮社
ISBN:9784101293103
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作品紹介・あらすじ

上野の口入れ屋の周旋だった。行徳の塩焚きの家に生れた光乃は、当代一の誉れ高い歌舞伎役者の大所帯へ奉公にあがった。昭和八年、実科女学校を出たての光乃、十八歳。やがて、世渡り下手の不器用者、病癒えて舞台復帰後間もない当家の長男、雪雄付きとなる。使いに行った歌舞伎座の楽屋で耳にした、幕開けを知らす拍子木の、鋭く冴えた響き。天からの合図を、光乃は聞いた…。

感想・レビュー (1件)

光乃にシンパできない分、苛立ちながら読んだ。暴力を振るうような男をなぜ愛することができるのか。静かに思いを寄せる、ということができないで雪雄の妻に嫉妬したりして返って惨め。若い頃は好きで読んだ作品もあったが、こういうヒロインはすきになれない。