作品紹介・あらすじ
ご大老である井伊さまについての不穏な噂が流れる三月の春、おやすは奉公人ではなく料理人として紅屋に雇われる身となった。
住み込みからおしげが暮らす長屋への引っ越しで始まった新しい日々は、何もかもが初めてで戸惑いを隠せない。
そんな折、大旦那さまのご隠居祝いの宴で、おやすの料理人としてのお披露目を行うための準備も佳境に入る。
政一の手助けなく一人で料理の献立を考える最中、大旦那さまはおやすの腕を示すた...
感想・レビュー (1件)
幕末の時代の変わり目を生きる市井の人々が愛おしい、シリーズ第十弾。 桜田門外の変、水戸斉昭の死、ヒュースケン暗殺と、幕藩体制の揺らぎを感じさせる事件が起こるなか、料理人としておやすはついに一本立ちする。紅屋の台所で働くのはこれまで通りだが、奉公人から雇われ人になると待遇が違うのだな、と興味深かった。 女の料理人が珍しかった時代、おやすを守り育てようとする周囲の人々の温かさにほっこりする。