匿名ユーザー
2026年8月27日
この物語は、金吾がイギリス留学から帰ってきて横浜港に着いたところから始まる。迎えに来た曽禰達蔵とは故郷唐津の学校で出会い、同時期に上京、工部大学校で建築を学ぶ同級生でもある。 帰るなり師匠ジョサイア・コンドル先生を鹿鳴館工事現場に尋ねた金吾は、東京の風景を眺めながらこのままでは日本が滅びる、との危機感から自ら「東京を建てる」ことを決意する。 日本銀行本店設計の仕事をコンドル先生から奪い取った金吾。日本の主たる建物は日本人の手による設計でないといけない。新興国である日本の存在ををいかに世界にみとめさせるか、という観点からしたことだった。日本銀行金庫がいざという時(戦時下など)に水を溢れさせて、紙幣が使い物にならないよう設計されているのには驚いた。 その後東京駅の設計を手掛ける。 民間でバラバラになった鉄道を総て国有にして一本化し、国力を上げることが目的だった。日本銀行のようなバロック様式ではなく、クィーン・アン様式。東京の街に解放された女性が映えることを意識しての選択だった。 強烈な個性の金吾、そしてライバルとも言える同郷の曽禰達蔵の対比も興味深い。野心溢れる金吾、最後まで善人だった達蔵。 達蔵あっての金吾だったのかもしれない。 彼らが造った近代建築がその後の日本の発展に大きく影響した。 江戸から明治、封建国家から立憲君主制へと移行する中でその意義は大きかった、とこの1冊を読んで改めて痛感した。
東京、はじまる
門井慶喜
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