うしお

2025年11月9日

読み進めるうちに変わっていくひとりの秘書のイメージ、「偉大な功績を残したベートーヴェン」の近くにいた、ひとりの男の人生を読み解くのがこれほどまでに興味深いものだとは読む前は思っていなかった。 映画化をされたという話題性だけで挑戦してみたが、読み進めて彼の人生に思いをはせるのが本当に楽しかった。 人ってのは、ひとりひとりいろんなことを考えながら、悩みながら、自分にとって大事なこと、大事なもの、大事な人のために情熱を注ぐのだろうなという納得感がそこにはあった。 書を焼き、自分を偽り、神をたたえ、そうまでされるベートーヴェンという人物がそこには居て、その改ざん事件も含めて、現代のベートーヴェン像が形作られている。それも含めてベートーヴェン。 「高潔なるマエストロ、私は神にかけてあなたに約束します!ーー私のもっとも高尚な目的は、あなたの教えを他人にさらに伝えていくことです」

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ベートーヴェン捏造

ベートーヴェン捏造

かげはら史帆

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