
レビュー (3件)
「入試をぶっつぶす」という物騒な貼り紙が教室に貼られるところから物語は始まる。舞台は地元一の進学校である一高。登場人物は主に教師。教師の多くは一高出身だ。彼らの愛校心は半端ない。一方、教師の中にはかつて一高不合格となった者もいて複雑な感情を抱いている。読みながら、ああ、そういう問題提起をしているんだぁ、と想像していたのだが、最後に私の読みは逸らされた。学校という閉ざされた社会では、ともすると大人の都合のいいように物事が進んでいく。生徒のために聖域であるべき学校が教師の聖域になっている。
0