2024年10月20日
四つの短編の登場人物たちのそれぞれの「卒業」。卒業に至るまで、どれくらいの時間がかかるかは、誰にもわからない。卒業できるかも、わかっていなかっただろう。卒業する気もなかったかもしれない。 思うようにいかないことがあり、苦しみに胸かきむしられ、いたずらに時間を消費し、孤独になり、もがき、助けを求め、もがいた先に、こんな「卒業」があるのかと、読者の胸にあたたかく迫るものがある。
重松 清