作品紹介・あらすじ
第169回芥川賞候補作。
鉄鋼を溶かす高温の火を扱う溶接作業はどの工事現場でも花形的存在。その中でも腕利きの伊東は自他ともに認める熟達した溶接工だ。そんな伊東が突然、スランプに陥った。日に日に失われる職能と自負。野球などプロスポーツ選手が陥るのと同じ、失った自信は訓練や練習では取り戻すことはできない。現場仕事をこなしたい、そんな思いに駆られ、伊東は……。
“「人の上に立つ」ことにまるで関心がなか...
感想・レビュー (1件)
プラントの溶接工の話 ライ麦畑でつかまえてを彷彿とさせる厨二病主人公とした小説。自分にしか出来ない溶接があると傲慢な主人公が、他人には出来ない仕事で誇り高く持っているかと思いきや、実は卑下しており、他人から馬鹿にされると激昂してしまう。歳は40だけど主人公のムーブは中学生さながら。最後の50ページ付近で出てくる牧野との会話で、牧野のセリフがないことで、相手を考えることもなく、自分のことにしか目を向けていないことがよく物語っている。 面白かった
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