こちらあみ子

こちらあみ子

今村 夏子
筑摩書房
ISBN:9784480431820
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作品紹介・あらすじ

あみ子は、少し風変わりな女の子。優しい父、一緒に登下校をしてくれ兄、書道教室の先生でお腹には赤ちゃんがいる母、憧れの同級生のり君。純粋なあみ子の行動が、周囲の人々を否応なしに変えていく過程を少女の無垢な視線で鮮やかに描き、独自の世界を示した、第26回太宰治賞、第24回三島由紀夫賞受賞の異才のデビュー作。書き下ろし短編「チズさん」を収録。

感想・レビュー (1件)

1/12読了。不思議な小説。あみ子は現実に存在しそうだがしていない何かメタファーのようにも感じた。実際に存在し接する機会を持ったら距離を置いているかもしれない。なぜか。身の回りの社会的枠組みや自身が生きてきた環境・価値観では異質な者と認識してしまう、バイアスがかかるからだ。そのことを認知した際に、ああ自分はなんてつまらないのだろうと感じた。あみ子のように社会(世間)を気にしないで生きていることから気付かされることも多いのだろうなあ。情景を描く文書が細かく丁寧で想像しやすい。ガツンと場面が切り替わる構成もとても面白かった。