隣のずこずこ

隣のずこずこ

柿村将彦
新潮社 (2020年11月30日発売)
ISBN:9784101024417
本棚登録:8

作品紹介・あらすじ

「村を壊します。あなたたちは丸呑みです。ごめんね」二足歩行の巨大な狸とともにやってきたあかりさんはそう告げた。村を焼き、村人を呑み込む〈権三郎狸〉の伝説は、古くからこの地に語り継がれている。あれはただの昔話ではなかったのか。中学 3 年生の住谷はじめは、戸惑いながらも抗おうとするが──。恩田陸、萩尾望都、森見登美彦が絶賛した、日本ファンタジーノベル大賞2017受賞作!

感想・レビュー (2件)

柿村将彦「となりのズコズコ」読了。 初めての作家さん。カバーデザインとタイトルの面白さから気になっていた小説。あと、大好きな森見登美彦が推しているのもポイント。 ある日突然、昔話で聞いていた信楽焼のたぬきそっくりの権三郎狸がやってきて、昔話通りに1ヶ月後には村を滅ぼしますよというお話。 文体は読みやすくサクサクと読み進められる。なんとなくだけど舞台のか映画の脚本を読んでいる感があった。 カバーデザインの可愛い感じと隣のズコズコという、すこしふざけたような感じからコメディっぽいのノリなのかと思ってたら、意外と重めでちょっと驚いた。 滅ぼされるよと言われてるのに、受け入れている町の人たち。だってしょうがないじゃ無いか、来てしまったものはという諦念。そのあたりになにかうっすらとした怖さがある。 昔話って全てに意味があるものではなく、意味がわからないものも存在する。悪いことしちゃいけないよという教訓でもなく、ただそうあるものとして語られる。そういうのって大事な気がする。この権三郎狸も、なぜという理由がない。 解説で森見登美彦が旅の六部の話を喩えに出していたけど、個人的には中島らもがよくエッセイで書いていた落語の「あたま山の花見」というのを思い出した。話は全然違うのだけど、なぜそうなってしまうというのを考えすぎるとまったく意味がわからない話という点では共通してるのかなと。

読みやすく面白かった。考察の好きな人にオススメ