薄雪
薄雪

2025年5月19日

三秋縋 三日間の幸福 主人公のクスノキは幼き頃から人と距離を取り、周りの人間を冷笑する癖のある子供だった。10歳のときはやはり同様の性格をもっていた女の子ヒメノと出会い、つるむようになっていた。2人はもし20歳の時までお互い相手がいなければいっしょになる約束をする。そんなある日、学校の授業で人間の命はお金にするといくらか、といった話を担任から聞き、なぜかそれが心に残る。 20歳になるころまで、その性格からクスノキは孤立した生活を送ってきた。その人生に悲観した彼は、街中で見つけた店で自分の残りの寿命を査定してもらう。30万という金額をつけられたクスノキは、やけになって余生を3ヶ月のみ残し売ってしまう。余生を売ったクスノキには、その挙動を見張るための女性の管理人ミヤギがつく。 クスノキはミヤギともに、残りの3ヶ月を過ごすことになるが…。 とても美しい作品です。 生きていこうとすると、人生はとても苦しく、周りが見えない時があります。ただ、自分があと何日で死ぬと分かった時。その時初めて、世界の美しさや、愛の素敵さ、その喜びがわかるのかもしれません。 なんて逆説的で悲しいんでしょうね。この世界の美しさと残酷さ。

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三日間の幸福

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三秋 縋

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