
レビュー (5件)
「子どもめし」なんて言葉もなかった私の子ども時代。母子家庭で、昼も夜も働いていた母。土曜日のお昼は、いつも友人の家でごはんをごちそうになっていました。 あの頃の私は、卑屈になることもなく、 ただ「おいしいな」「ありがたいな」と感じていられた。 それは、友人の家族のあたたかな思いやりのおかげです。 そしてその感謝の気持ちは、大人になった今、より深くしみわたっています。 子どもにとって、「貧乏」はどうしようもない現実。でも、満たされた胃袋は、確かに血となり肉となり、そして心を育ててくれました。 あの頃、近隣の人たちは、貧しかった私たち家族にとても優しかった。 「ここは安心していい場所だよ」と、黙って示してくれていた。だから私は、世の中に拗ねたり、恨んだりせずにいられたのだと思います。 そして今、恥じることのない大人として、その恩に報いたい。いただいた優しさを、今度は私が次の誰かへ。ペイ・フォワードで、温かい記憶を届けていきたいと思います。
0