作品紹介・あらすじ
感想・レビュー (1件)
#箱の中 #木原音瀬 2006年発行 文庫版2012年 この本の魅力はなんと言っても社会の片隅に力強く生きる喜多川だと思うのです。 文庫版は『箱の中』全編と、続編『檻の外』を収録。とても有名なBL作品で、読み応えもあり、きれいにまとまっているのですが、手離しで絶賛といっていいのか戸惑うのです。 堂野と離れ離れになってボロボロになっているであろう喜多川の話は涙を誘う。 不幸にして子供の頃に、愛とは何かを教えてもらわなかった喜多川が、初めて心が温かくなり、人を愛するきっかけが、堂野だった。子供のような無邪気さを持つ彼は独特の可愛さがあった。 . . . 刑務所を出所した喜多川は、絶望の淵で何を決断したのか。 探偵事務所の人間に騙されているとも知らず、喜多川のみずみずしく一途な愛が波状攻撃のように胸に届いた。 衣食住すら危うい状況で、人生を全て愛のために捧げる喜多川。 変わり者と笑われようと、彼は魅力的でした。 ただ残念なことに、個人的には堂野は最後まで好みでなかった。 堂野があくまで世間の目を欺くための偽装結婚だったらよかったのに。 喜多川がせっかく引っ越してきて、側にいてもやっぱり孤独で…より虚しさ、想いのズレが際立った。 家庭崩壊し失意のドン底になったことで喜多川に惚れ直す…そればあるかもしれない。 だだ一人の人間に対して突然扱われる死は、盛り過ぎじゃないかと。その割にさらっとしている。そう思うのは私だけ? . . たくさん小説を読んでいればよくあることですが、冤罪・同性愛というキーワードは、柴田よしき先生の『聖なる黒夜』を思い起こさせます。この気弱なインテリ青年の練は大好きでした。悪の道へ墜ちていったけれど、窮極の魂・愛の物語。この作品も名作だと思います。 BLだと故・栗本薫先生の『終わりのないラブソング』は心が壊れた双葉が何とか社会復帰しようとしますが、甘ったれでオカマちゃんになるのが何とも残念でした。 木原先生のノベルズの短編『なつやすみ』は未読なので、探して読みたいと思います。
ネタバレを読む