作品紹介・あらすじ
あの子は、
どこから戻れなくなったんだろう──
東京で働きながら小説家を目指していた今日子は、震災が起こった翌年に夢を諦め、母のすすめで実家に戻る。妹とその夫、娘との二世帯住宅の生活に倦み疲れながらも、小説を諦めきれない。
そんな中、過去に凶悪犯罪を起こした少年Aが地元にいるという噂を耳にする。そしてパソコンなどを検索して知った少年Aの姿に急速に惹かれていく。
一方、神戸生まれで、東京に住む十七...
感想・レビュー (1件)
7歳の少女を殺害した、14歳の少年。事件から時が経った今、ある町に彼が住んでいるという噂が広まった。 加害者、売れない作家、彼をアイドルのように崇拝する少女、その少女に殺された娘を重ねる母親… それぞれの立場が、一つの場所で重なり合う。 何というか、狂気的な作品で、自分には理解し難い気持ちだなと思った。 そもそも殺人者を「ハルノブ様」と崇める気持ちがよくわからない。それでもって、家庭環境も、みんなそれぞれに複雑で、考えさせられる部分もあったけれど、やはり暗すぎて、理解することのできない作品だった。 最後に、晴信改め倫太郎と莢を殺したのは、光の母だろうか。今日子は、どの段階でどんなふうに関わっていたのだろうか。もう一度読めば分かるかもしれないが、再読したくなるような魅力はないな、と思う