日本人が立ち返る場所

日本人が立ち返る場所

養老孟司/内田樹
KADOKAWA (2026年1月21日発売)
ISBN:9784046075529
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作品紹介・あらすじ

人と社会の在り方を問う 生き方、選挙と情動、子育て、言語と文体、病気と死、自然との対話、芸術と教養…… 二人の思想家が森羅万象を語り尽くした、19年ぶりの対談本が登場! 日本人が今見失っているものとは何か? 令和ニッポンを生き抜くためのヒントが満載。 第一章 情念と政治 第二章 陰謀論の時代をどう生きるか?〜求められる「感情教育」 第三章 居心地の悪い社会 〜子どもの自殺を考える 第四章 言...

感想・レビュー (1件)

まず、全体として養老さんは政治とかよりも自然とかの話がしたくて、内田さんは両方の話がしたい感じがして、でもそれなりに話がテンポよく進んでいてよかった。でも養老さんの政治の話になった途端に「僕は知らない」感は笑えた。 日本の国の作り方として弱い家父長制しかないというのは少し実感。なんか自分にも内面化されているし、今日、子どものおむつ替えシートにお母さんが替えているシーンしか印刷されていないことに気づいて、「あ、こんなところから子育てについての内面化が進んでいるのか」と思って、やはりちょっとやそっとじゃこれを乗り越えられないし、むしろ乗り越える必要あるのか、とも思った。あと物語の話はいつも納得。現実を解釈するための「物語」は気持ちが良いのだよね。 そして、「グレーゾーンを許さない」という考えがはびこっている世にも警鐘を鳴らしたい。「正しすぎる」ということは良くない。共感できないものに対しても私も許容するところを持たないとバックラッシュくるな。 あとは「いい加減」をだいじにしたい。命をかけてという言葉を脅しとして使うことを否定していきたい。 額縁が外れたという表現は面白かった。特に劇場や教会の豪華な建物をそれに見立てていると言う考えは納得。建前ということなのだろうけど、その場が何を言っても許されるというか、いや違うか、お芝居であることを皆が理解している場としての場があることの重要さってことかな。本当の私という言葉の陳腐さがよく伝わる。 発言の非論理性が親しみに通じ、そこから自分の代表者を選ぶという考えが浸透してきているという分析はたしかに。と。代表者は自分よりも頭のよい人であってほしいのにそういう人を選ばないって怖いなーって思ったけど、自分はどうなのだろう。 あと、人間関係を共感ベースにしてはいけない、というのは今回一番ぐさっときたところ。私も自分がこういう人間であろうというのを作っておこうかな。ゴッドファーザー見ようかな。 あとフランス人のユダヤ人排斥がヘルツルのシオニズム運動へ移行していくところが皮肉だなーと。境界線についてはイギリスなどのこすすぎる手にびっくり。 新井紀子さんの「AI vs」シリーズに養老さんが反応していたことにびっくり。確かに文字を数字に当てはめるのってある意味論理の飛躍が起きているとこだから、躓く子がいるというのも納得。感覚を抽象化するというところ結構キーワードだと思うけど新井さんはむしろそこは言及できていなかったな、と。そして内田さんがそのために文学を読む(違う人間のなかに入り込んで世界を追体験する)という行為を有効だと言っていて、新井さんが批判しているところでともがあまり言語化できなかったところをしてくれたな、と。あと、説明文は授業で書かせようと決めた。