執事の分際

執事の分際

よしながふみ
白泉社 (2005年11月15日発売)
ISBN:9784592886266
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作品紹介・あらすじ

革命期フランスの動乱の中、名門貴族に仕える切れ者執事・クロードと、贅沢に慣れきった美しい主人・アントワーヌの甘く密やかな恋愛劇。身分違いの、それ故に熱く切ない二人のロマンスを完全収録。 2005年11月刊。

感想・レビュー (1件)

#執事の分際 #よしながふみ ♠フランス革命前後の主従ロマンス よしながふみ先生の本で、「執事の分際」と「ジェラールとジャック」が一番読み返しているかもしれない。やっぱり大好き♥️ 初めて読む方は完全収録の文庫版をおすすめします。 ひとつひとつの短編が短くても、豊かで一つの物語になる。 フランス革命という時代を、貴族側の視点で軽やかに描く。会話も洒落っ気があったり、ほのぼのしたりと楽しい。大胆な余白も好き。作者の伝えたい思いを汲み取れているだろうか。読み返すたびにワクワクしました。 表題作のクロードは、憎らしいほど有能な執事。華があるように見えて、内省的な一面もあり食えない人物。 「小姓の分際」では、クロードが執事になった経緯が描かれていて、ちょっとホロリとさせられる。 クロードばアントワーヌ坊っちゃんを大切に思っているはずなのに、常に冷静で愛を囁いたりしない。両片思いの「愛とは夜に気付くもの」では目鼻がツンっとした。 革命が起こってからのクロードは凄かった。 ものすごくイヤラシくって、愛情深いエピロードが満載。 アントワーヌは、甘ったれでブライドだけは人一倍だけど、とにかく可愛い。怒った顔や泣き顔もいじらしい。 今を生きる彼らには、自分の気持ちを正直に伝える自由と未来がある。「シノワズリ」のあの時代とは違う…そう思うと泣けてくる。心を通い合わせながらも、許されない恋をしたふたりのぶんも、幸せになって欲しい。 人は2度死ぬ。 1度目は肉体の死。2度目は人の記憶から忘れ去られること。 アントワーヌはパパの特注銀狐がとても似合っていた。家財全て売り払ったと思っていただけに、銀狐を大切にしていたクロードに惚れ直しました😭 次は同時代の「ジェラールとジャック」です。

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