レビュー (1件)
#萩尾望都 80年代少女漫画 #メッシュ プレミアムエディション上下巻 大好きな本です。 無垢で危うい少年の時間。 メッシュの底知れぬ寂しさ、目に見えない感情を表現してくれる萩尾望都先生。 先生は思春期の名作『トーマの心臓』『残酷な神が支配する』などをたくさん描いていらっしゃいますが、主人公メッシは葛藤を抱えながらも、コケティッシュで生命力にあふれている。パリを舞台に、ミロンとの友情など人々の交流を得て、精神的自立を描くシリーズです。 メッシュが可愛くて、無言の涙を見ると、抱きしめて背中をポンポンしたくなります。 父親を殺そうと思いつめ、悪ぶっているけれど、ウブでいい子です。世話になっている同居人のミロンには恩義を感じて、彼なりに仕事を頑張ろうとする姿が健気。 終章『シュールな愛のリアルな死』でメッシュがハサミで襲われるシーン。この一コマに胸が張り裂けそうだった。 寂しい子どもは「親に嫌われたくない」これ以上、嫌われたら生きて行けないと無意識に思ってしまうのだそう。 物語はその呪縛から解放されてゆく少年と共に終わる。緻密なプロットに圧倒されました。
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