名残の花

名残の花

澤田瞳子
新潮社 (2022年9月28日発売)
ISBN:9784101042817
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作品紹介・あらすじ

ご一新から五年。花見客で賑わう上野の山に、かつて南町奉行を務め、「妖怪」と庶民から嫌われた 鳥居耀蔵の姿があった。失脚し、 二十三年の幽閉の末に耀蔵が目にしたのは 変わり果てた江戸の姿。明治を、「東京」を恨み、孤独の裡に置き去られていた男の人生は、金春座の若役者・滝井豊太郎と出会ったことで動き始める。時代の流れに翻弄されながらも懸命に生きる人々を描く感涙の時代小説。

感想・レビュー (1件)

#澤田瞳子 #名残の花 2022年発行 非BL ひと言でいうと、ファンになりました💘 人情と情熱が心に染みます。 澤田瞳子先生を読むきっかけは、先日のサントリー美術館の絵師「河鍋暁斎展」でした。 巨匠・河鍋暁斎の娘を題材にした小説があると知り、澤田瞳子先生の本「星落ちて、なお」を購入。 でも「名残の花」を真っ先に読んだのは、能に親近感がわいたためです。 ご一新後、時代の流れに翻弄された能楽師や、江戸の悲哀を描く連作短篇集は、読み応えがありました。 西欧の最新文化をもてはやし、日本の伝統文化を時代遅れと切り捨てようとする時代。 なるほど。当たり前のように現存する能楽だけれど、滅びかけた苦境を丹念に描いていて興味深かったです。 かつて南町奉行を務め失脚し、23年間の幽閉を経た齢77歳の鳥居胖庵(時代小説ではよく悪役として登場する)と、金春座の若役者の豊太郎が出会い、事件の謎解きをするのも面白かった。 困っていると、しだいに人情家の顔を見せる胖庵もいい。 金春座の豊太郎は16歳で、86歳の師匠の世話をしながら稽古に励む日々。その健気な姿がいとおしく感じ、かつ心強い存在でもありました。 豊太郎が謎解きの手掛かりにするのが、稽古中の能の物語。「清経」の妻の心理から、純粋な考察の豊太郎と、世事に長けた胖庵ならではの考察も見事でした。 大学時代に能楽部に所属していた作者様が、明治維新という歴史に一石を投じる本になっていて勉強になりました。