作品紹介・あらすじ
時は文政5(1822)年。本屋の“私”は月に1回、城下の店から在へ行商に出て、20余りの村の寺や手習所、名主の家を回る。上得意のひとり、小曾根村の名主・惣兵衛は近ごろ孫ほどの年齢の少女を後添えにもらったという。妻に何か見せてやってほしいと言われたので画譜ーー絵画の教本で、絵画を多数収録しているーーを披露するが、目を離したすきに2冊の画譜が無くなっていた。間違いなく、彼女が盗み取ったに違いない。当惑...
感想・レビュー (2件)
国学書や医学書などの専門書を扱う江戸時代の本屋の話。 書物が貴重だった時代の商いの仕方や いつも時代も本を好み、大事にする人は変わらないと、改めておもった。
此れは良い本であった。最後の「医は一人では前へ進めません。皆が技を高めて、全体のすいじゅんが上がって、初めて、その先へ踏み出すものがでるのです。そのためには、みんなが最新の成果を明らかにして、みんなで試して、互いに認め会い、互いに叩きあわなければなりません。それを繰り返しているうちに気がつくと、みんなで遥か彼方に見えた高みにいてふと、見上げると、もう何人かは、それよりさらに、高いところにいることぬるのです。一人で成果を抱え込むのではなく」
