作品紹介・あらすじ
聞いて欲しい人が、ひとりおるんです。政と聖を描く、衝撃の芥川賞候補作。早野ひかるは「先生」に打ちのめされ、銅鐸と土地の来歴を学び始める。ここではかつて罌粟栽培と阿片製造が盛んで、満州に渡って「陛下への花束」を編み、紀元2600年記念万博を楽しみにしていた青年がいた。いつしか昭和と令和がつながり、封印されていた声が溢れ出す。大阪と大陸で響き合う夢とロマン、恋愛政治小説。
感想・レビュー (2件)
かしこい。いろいろ読んでおこう。ありがとう
難しい漢字が多くて調べながら、或いは適当に解釈しながら読み進めて行った。天皇のために満州に罌粟(ケシ)のお花畑を作ることに生涯を捧げた川又青年の思いは、戦争に負けて自分達にご苦労だったと建前上言えない天皇の気持ちも分かるが、言ってもらわないと救われないということなんだと、書いてあった。それを現代に生きるひかり氏が川又青年と交流することにより描き出されていた複雑な物語。銅鐸を鳴らし、啓蒙する先生という人も川又青年の思い(叫び)を啓蒙したいのか。ひかる氏の恋人になりそうなしおりさんもその父もこの物語においてどういう存在と捉えていいのかよく分からなかった。ただ、天皇を信じて戦争に関わった人々の報われない気持ち、よくやった、頑張ったと言って欲しい気持ちは、初めて想像した。ほんまやわと思いました。それを言えない天皇の立場や苦しい気持ちも想像すると、心が痛みます。
