ゆきかぜ

10件のレビュー

レビュー

面白かったなぁ。 相変わらず気の利いた会話も格別強い印象のキャラクターもいないのですが読み進めてしまう。 しかも、何が気になるのかも分からず読み進めてしまう。盗まれた金の小箱はすぐに見つかるし、不安定なニックにも特に興味はもてないし、序盤に殺されたチンピラは全然存在感がない。おまけに話は複雑で入り組んでいて、わかりづらい。 ただ、一気にラストまで持っていく展開力が不思議にストーリーにはある。 読み進めていくうちに、トラットウェル家とチャーマーズ家の過去の秘密が少しずつ見えてきて…。 リュウ・アーチャーと一緒に寄り添って過去を辿り、人間を見つめていく。 裏にある人の哀しさに触れることがとても魅力的な作品です。

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別れの顔

別れの顔

ロス・マクドナルド/菊池光

ウィリアム・アイリッシュの未読であったこの本を読みました。コーネル・ウールリッチ名義で書かれています。 サスペンス風のストーリーはすごく良いと思います。 ただ、ここのところチャンドラー、ロス・マクドナルドといった味のある文章に触れていたので、どうしても文章が少し軽くみえてしまう。 また、登場人物も掘り下げて書かれてはいないので。 個人的にはロス・マクドナルドにリメイクしてもらいたい一作。 散々に書きましたが復讐劇ものとしてはとても良いドラマ だと思います。ジャケットもとても素敵です。

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黒衣の花嫁

黒衣の花嫁

コ-ネル・ウ-ルリッチ/伊藤佐喜雄

ハードボイルド御三家、ロス・マクドナルドの名著。 10年近く前に読んだ本を読み直してみました。 チャンドラーに比べたら、キャラクターの魅力も低く、気の利いた会話もないのですが、不思議と読み進めてしまう。 ジャンル的には、ハードボイルドといった感もなく、どちらかと言えばサスペンス的な味わいがあります。 特にラスト100ページの展開力は圧倒的です。 それにしてもどうして男女の愛はこう人を哀しくさせるのでしょうね。

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さむけ

さむけ

ロス・マクドナルド/小笠原豊樹

個人的には、チャンドラーの長編小説の中で一番プロットのわかりずらい本だと思います。それでも、マーロウ物の魅力が薄れるわけでなく。 登場人物はみな個性的で生き生きとしていて、読んでいて飽きません。特に女性陣。オファメイクエストの曲者感はひしひし伝わってくるし、映画女優2人の強烈さも印象に残っています。 そして、マーロウのやさぐれ感は格別ですね。 何度か読み直して、ちゃんとミステリーとしてあらすじを時系列に沿って理解したい作品です。 「誰かの夢が失われたようだね」そして身を屈め彼女の目を閉じてやった… なんて締めの一文、本当に胸にきます。

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リトル・シスター

リトル・シスター

レイモンド・チャンドラー/村上春樹

村上春樹のデビュー作です。 近年の村上春樹の著作が難解に感じるわたしには、わかりやすくて良いです。 この頃の文体、雰囲気にはもう戻れないのだろうな。 やっぱり疲れたときによく読む本です。

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風の歌を聴け

風の歌を聴け

村上 春樹

本当に心が疲れた時によく読む本です。 なにをしていても、どんなふうに時を消費していても許される、そんな気にさせてくれる本です。 なにかを頑張って成果をあげないと意味がない、豊かな人生を送らないといけない、そんなふうに考える必要はないんだろうな、と…。 「そして一日、窓の外を通り過ぎていく11月の日曜日を眺めた。何もかもがすきとおってしまいそうなほどの11月の静かな日曜日だった。」

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1973年のピンボール

1973年のピンボール

村上 春樹

2度も映画化されているという名作。ミステリとしての完成度も高かったです。ただし、ミステリ好きとしてこの作品を見て読んでいるわけではないので、そこまで謎解きやプロットが面白いわけではなく。 マーロウが出ている、それだけで話や文章が魅力的になります。 マール・デイヴィス嬢に対する騎士道的な扱いには涙が出るくらい。あまりにもロマンチックすぎる優しさですね。

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高い窓

高い窓

レイモンド・チャンドラー/村上 春樹

村上春樹版の『長いお別れ』 こちらも大好きな本です。 とりあえず解説を堪能して、清水俊二訳と比較するといった楽しみもありますよね。 装丁のデザインは、なぜこんなにも簡素なのでしょう。

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ロング・グッドバイ

ロング・グッドバイ

レーモンド・チャンドラー/村上春樹

翻訳本の中では、わたしの最も好きな本。 レイモンドチャンドラーの魅力は、その個性的な登場人物と味わい深い会話。どのページから開いても独特な空気感を味わうことができ、何度読んでも飽きません。 村上春樹訳も清水俊二訳好きですが、装丁は古くからある清水さんの方が好きです。 物語終盤の「ギムレットには早すぎるね」が決め台詞。 あいにくとギムレットの味がよくはわかりませんが、まあとりあえずやられちゃいますよね。

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長いお別れ

長いお別れ

レーモンド・チャンドラー/清水俊二

フィリップ・マーロウもの、第1作 『長いお別れ』や、『さようなら愛しいひと』と異なり、珍しく私立探偵として依頼を受けて仕事を始める形式。 少し文章が固いけれど、面白い。 撃っていいのは撃つ覚悟をもっているやつだけだ!って文章どこにあったのだろう。

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大いなる眠り

大いなる眠り

レーモンド・チャンドラー/村上春樹