匿名ユーザー
2件のレビュー
レビュー
こ…こわい。。 とはいえ怪奇現象だけではなく、生きている人間のほうが怖いよね、という感じ。 そして怪奇というのは人の心に棲みついた、理性の届かない暗い部分が具現化したものかもしれないと思う。生きているときに浄化できなかったもやもやしたものが成仏できずに現世をさまよっているのか、それとも現世を生きている人間の心に巣くうドロドロしたものがそういったものを呼び寄せるのか。作品の舞台である明治時代も、今の時代も人が悩み、そのなかでも人々の営みがあり、そこに恨みや怒りが生まれて人の理性をなくしてしまうところは同じだった。
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ぼっけえ、きょうてえ
岩井志麻子
ああやっぱりこの人はうまいな、と思う。 仕事をしていて、また友達との関係性のなかで感じるざらっとした出来事や感情、そこにぶち当たったときに大人としてどう対処するか、うまく流していくのか、32歳という年齢は若いようで、その実社会人に出て10年経っているのである程度社会のことはわかっている。それを経験として熟成していくのはたぶんこの年齢ぐらいからなのだろうと思う。若いころには見えなかったもの、ある程度責任を持つからこそ経験すること、そのいくつもの事象に疲労は蓄積していくけれど、つかの間の大切な誰かとのやりとりや、趣味に没頭することなどで流していく。綺麗に流れるわけではなく、水底に砂が残るようにいくらかダメージを残しながら。でもそのダメージが蓄積されてその人を形作っていると思う。疲労がたまったその顔で、その人はこれからも人生を歩んでいくのだろう。
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ワーカーズ・ダイジェスト
津村記久子