作品紹介・あらすじ
感想・レビュー (1件)
初めて手に取った王道ラブコメ作品。購入のきっかけは単純で、紅茶が好きだった自分にとって、作者名が「阿賀沢紅茶」というのが妙に気になったからだった。 物語の初手から登場する主人公・氷川小雪(ひかわこゆき)は、いわゆる“女王”のような存在として描かれている。その見せ方はかなり強烈で、周囲に「誰も近寄るな」と言わんばかりの空気をまとっていた。その雰囲気はどこか自分自身にも覚えがあり、だからこそ初登場の段階で小雪に強く惹かれるものがあった。 一方で、「このまま小雪は平穏なままでいいのか」という展開の定番さも感じるが、それでも物語はテンポよく進んでいく。 そこに登場するのが男子組のミナトとヨータ。二人とも文句なしにイケメンで、物語の空気が一気に変わる存在感を放っていた。 さらに安曇美姫(あずみみき)が登場する。天女や女神のようだと評される彼女は、小雪とは対照的に、誰にでも話しかけられ、自然な笑顔を見せるタイプだった。ここで小雪が黒いピアスを付けていることに気づくが、校則的に大丈夫なのかという疑問も浮かぶ。また、スマホでLINEではなく「NINE」と呼ばれるSNSを使っているなど、現代的な設定も印象的だった。 美姫は小雪と親しげな様子を見せるが、その関係性はまだ明かされておらず、どこか不思議な距離感が残る。しかも美姫自身も同じく黒いピアスを付けている点が気になる。 やがて、美姫が「アイドル扱いされていること」にショックを受けている姿が描かれ、そのギャップに驚かされる。華やかに見える存在ほど内面に揺れを抱えているのだと感じさせる場面だった。 中学時代の回想では、小雪が自分と同じように小柄だったことが描かれ、思わず共通点を感じてしまう。さらに、保健室で休むという描写まで重なり、より一層彼女への親近感が増していく。 また、ミナトは他人の本心を無理にこじ開けようとするような危うさを持ち、美姫は自分の“本当”が分からなくなっていく不安定さを抱えている。 ヨータはどこかフワフワした掴みどころのない人物で、視力が悪いだけなのにチャラい連中に睨まれたと勘違いされる場面は、思わず笑ってしまう軽さがあった。 物語はやがて、小雪・美姫・ヨータの3人が自習室から自販機へ向かい、そのまま家まで帰るという、何気ない青春の時間へと繋がっていく。 一方でミナトは、自分という軸が曖昧なまま人と関わることで、彼女に振られてしまうという結末を迎える。その不安定さが、彼という人物を象徴しているようだった。
ネタバレを読む